農地の転用 ②

お疲れ様です。行政書士の亀井宏紀です。

さて、農地法の続きです。

農地法の第3条より「第二章 権利移転および転用の制限等」となっています。そして第3条の規定は、農地を他の用途に転用するのではなく、農地は農地のまま使うのだが、所有者が変わる場合や、農地に賃貸借を設定する場合などを規定した条文です。
例えば、農地を売買したり、相続で農地を譲り受けた、農地を他の農家に貸すことにしたような場合です。

この場合の許可を受ける窓口は、各市町村に設置されている農業委員会という所になります。農業をされている方以外では、あまり聞いたことがないと思いますが、教育委員会のように、市区町村に設置が義務付けされている委員会です。この農業委員会の許可を受けないで行われた売買や貸し借りは,法的効力が生じないので、取引は無効(最初からなかったということ)になるという、とても強い権限を持った委員会です。

ただ、農地法3条の場合は、農地の転用の場合と異なり、農地を、その後も農地として使用するので、許可が不要とされる場合が多くあります(詳細は、第3条1項但し書きに16個あげられえています。許可は不要でも、届出が必要な場合はあります)。
例えば、遺産の分割、相続財産の分与の裁判によって権利が設定された場合、国または都道府県が権利を取得する場合などです。

もっとも、農地をその後も農地として使用するとはいっても、ちゃんと農地として使ってくれなくては、農地法の目的は果たせません。
そこで、許可の要件も農地法3条3項であげられています。概要をみてみると

・権利を取得しようとする者がその取得後において、その農地又は採草放牧地を適正に利用していないと認められる場合に使用貸借又は賃貸借の解除をする旨の条件が書面による契約において付されていること。
・権利を取得しようとする者が地域の農業における他の農業者との適切な役割分担の下に継続的かつ安定的に農業経営を行うと見込まれること。
・権利を取得しようとする者が法人である場合にあつては、その法人の業務を執行する役員のうち一人以上の者がその法人の行う耕作又は養畜の事業に常時従事すると認められること。

となっています。
つまりは、農地を取得した後も、ちゃんと農地として使っていくことができるかが確認されるということになります。

農地を売買したり、貸したりする場合は、農業委員会の許可が原則必要で、許可の要件としては、農地使用の権利移転後も、ちゃんと農地として使っていくことができるかが確認されることを認識しておきましょう。

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