許可と届出

お疲れ様です。行政書士の亀井宏紀です。

さて、行政書士の仕事として、許認可の仕事がります。建設業を始めたいので、建設業の「許可」を取りたい、飲食業を始めたいので、飲食業の営業「許可」を取りたい等です。
おおよそ、なにかを始めたいときには、お役所などに「許可」を取ります。
もっとも、仕事の種類によって、営業を始める場合に「許可」ではなく、「届出」で、済むものもあります。
代表例としては、性風俗関係の仕事(デリバリーヘルスなど)です。

「許可」と「届出」の何が違うかというと、おおよそはその日本語どおりの意味ではありますが、教科書的にその定義をみると、

「許可とは、本来誰でも享受できる個人の自由を、公共の福祉の観点からあらかじめ一般的に禁止しておき、個別の申請に基づいて禁止を解除する行政行為」です。
つまり、建物を建てる行為というのは、本来は誰でも行っていい行為ではあるけれども、危険な建物をむやみやたらと建てられては、そこに住む人にとって危険なので、安全な建物を建てることができる人には、個別に行政に申請してきたら、審査の上、建物を建てていい許可をあげますよ、というものです。
飲食業でも同様に、衛生的なお店を運営できるんなら、飲食業の営業許可をあげますというものです。

一方、「届出」についてみると、

「届出とは、国民が行政庁に対して一定の事項を通知する行為」とされています。つまり、「届出」で済む、デリバリーヘルスを始めるような場合は、この仕事を始めますというお知らせを、行政に行うというものです。
なぜ、営業を始める仕事の内容について、「許可」と「届出」という方式が異なっているかを見てみると、飲食業も、デリバリーヘルスも、ともに許可の定義「本来誰でも享受できる個人の自由を、公共の福祉の観点からあらかじめ一般的に禁止しておき、個別の申請に基づいて禁止を解除する」場面にあてはまるように思うので、デリバリーヘルスも「許可」にしても、問題はないように思います。
しかし、「許可」は、行政が個別に審査するという特徴があります。性風俗関係の仕事について、国家が(ここでは、公安委員会が担当)、個別に審査して、許可を出すというのは、なにかおかしいのではないかということで、許可ではなく、届出ということになっています。

キャバクラも、デリバリーヘルスも、ともに、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営法)」の対象になっているんですが、キャバクラは許可制で、デリバリーヘルスは届出制になっています。

初めてこの分野を勉強した時に、大人の事情というものは、いろいろあるんだな、と思ったものでした。

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