みなし再入国許可 (入管法⑮)

お疲れ様です。行政書士の亀井宏紀です。

さて、昨日は、再入国許可制度について触れましたが、日本への再入国には、事前に再入国許可の申請を行うもののほかに、「みなし再入国許可」という、再入国の許可を受けたものとみなす、大変便利な制度があります。

ここで少し、法律用語のお話しです。、みなし再入国許可の「みなし」の部分、法律用語で「みなす」あたるものですが、この「みなす」とい用語は、法律の条文ではよく使用されています。
意味としては、ある事実があった場合に、法律上、当然にそのような効果を認める、という意味です。「みなす」は、たとえ反証があった場合であっても、その反証は認められないという効果を持ったものになります。

条文にある一例をあげますと、民法 第753条に

「未成年者が婚姻をしたときは、これによって成年に達したものとみなす」

と規定されています(これを成年擬制といいます)。たとえ18歳で結婚しても、大人の扱いをしますよ、反証もできませんよ、ということになります。
ちなみに、「みなす」と対比してよくつかわれる用語に、「推定する」がありますが、こちらは反証を認めるので、効果としては、みなすより弱いということになります。

このように「みなし再入国許可」は、再入国許可を認めたものとします、という強い効果がある制度です。
では、どのような方が対象かというと

・日本に在留資格をもって在留する外国人が
・有効な旅券を所持(中長期在留者の場合は、在留カードを所持する者に限る)し、
・入国審査官に対し、再び入国する意図のあることを表明して出国する

場合に、「再入国の許可」を受けたものと、みなす、としています(入管法26条の2第1項)。
そして、みなし再入国許可の有効期間は、出国の日から1年です。
また、みなし再入国許可については、出国中に再入国許可の有効期間の延長を受けることはできません。
再入国許可との違いは、再入国許可の有効期間は、出国の日から1年(再入国許可は、5年)と、出国中に再入国許可の有効期間の延長を受けられないことがあげられます。

「みなし再入国許可」は、事前の許可が不要と手軽になっている分、再入国許可の有効期間は、1年と短くなっています。通常の再入国許可と、みなし再入国許可の使いわけですが、明らかに短期間での出国(お正月に母国に1、2週間帰国するなど)の場合は、みなし再入国許可がよいと思われますが、明確に帰国の時がわからない(母国の両親の介護の問題など)場合は、事前に再入国許可を取得して、日本を出国するのがよいと考えます。

外国人の方が日本から出国する際には、一応、いつ日本に戻ってくるのか、考えて、再入国の方法を使い分けるようにしましょう。

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