それは、立派な『犯罪』です (入管法⑰)

お疲れ様です。行政書士の亀井宏紀です。

さて、今回は外国人の雇用を検討されている経営者の方を対象にお話ししたいと思います。

まず、よくあるお話のケースをあげます。

留学生が、ある会社やお店でアルバイトをしていた(もちろん入管法の資格外活動許可を得たうえで)とします。
その留学生は、とてもよく働き、頼りがいも責任感もある、本人が希望するなら学校を卒業後、会社に社員として雇いたいと、お店や会社の経営者の方が考えたとします。

もちろん、留学生が、適法な就労の在留資格を取得したう上で、日本で働くのは、何の問題もありません。
学校を卒業した留学生の就労の在留資格で多いのが、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格です。
例えば、経済学を専攻して大学を卒業した留学生が、大学で学んだ知識を活かせるような職種であれば、日本での在留資格は認められる場合が多いです。
もっとも、大学で学んだ知識を活かせないような職種は、在留資格が認められません。

ここで、一般的なことを考えるに、多くの留学生が行っているアルバイトは、コンビニや居酒屋の店員だったり、工場のラインのスタッフだったりと、働ける時間の関係からも、日本での一般的な大学生と、あまりかわりない場合が多いと思います。そして仕事の職所も、どちらかといえば、単純労働だったり、仕事の補助的なものが多いと思います。

このような場合に、よく働く留学生を卒業後、社員として雇いたいと言っている経営者の方に、留学生は卒業後、社員となった場合はどんな仕事をするのですかとの問いに経営者の方は、アルバイトの延長である、ラインの責任者とか、アルバイトをまとめるような仕事をしてもらいたいと、考えている方がいます。これは、大学で学んだ知識を活かせるような職種とはいいがたい仕事です。

このような仕事では、就労の在留資格は許可されないことを、経営者の方にはお伝えします。
そしたら、
「在留許可の申請は、大学で学んだ知識を活かせるような職種ということで申請して、許可がおりたら、やってもらう仕事を変えます」

と言われる方がいます。
これはやってはいけないことで、立派な『犯罪』です。

入管法73条の2で、不法就労助長罪が規定されており、これに該当します。

経営者の方のイメージとしては、不法就労していた外国人は、入管法に違反した場合、なんらかの罰則があることは認識されていますが、雇用した側には、特になにもないと、勘違いされている方がいます。

日本には、単純労働のための在留資格というものは、原則ありません。
あくまで、職所に対応した在留資格が認められているだけです。

立派な留学生を雇用したいなら、就労資格を得られえる仕事で雇用し、給与も日本人と同等のものを支払う必要があります。
このことをしっかり守り、優秀な留学生を雇用するようにしてください。

不法就労となり、経営者の方も、不法就労助長罪で捕まる可能性があります。

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