農地の転用 ③

お疲れ様です。行政書士の亀井宏紀です。

さて、農地法の続きです。

農地法の第4条からは、農地の転用について規定されています。
4条と5条が転用の条文なんですが、4条は、農地の所有者が自ら農地を転用する場合、5条は、事業者等が農地を買って、もしくは借りて転用する場合について規定されています。

3条の場合は、市区町村の農業委員会に許可申請を行いますが、4条の場合の許可申請は、都道府県知事になります。
そして許可の基準として
『立地基準』と、『一般基準』が設けられており、この規準に基づき、許可、不許可の判断を行うこととされています。
立地規準の方針としては、農地をその優良性や周辺の土地利用状況等によって区分を行い、転用を農業上の利用に支障が少ない農地へ誘導するものとされています。

『立地基準』は5分類されており、分類ごとに、原則不許可、原則許可とわけられています。
詳細を確認すると

① 農用地区域内農地 ⇒市町村が定める農業振興地域整備計画において農用地区域とされた区域内の農地
           ⇒原則不許可

② 甲種農地 ⇒市街化調整区域内の土地改良事業等の対象となった農地等、特に良好な営農条件を備えている農地
       ⇒原則不許可

③ 第1種農地 ⇒10ヘクタール以上の規模の一団の農地、土地改良事業等の対象となった農地等良好な営農条件を備え        ている農地
       ⇒原則不許可

④ 第2種農地 ⇒鉄道の駅が500m以内にある等、市街地化が見込まれる農地又は生産性の低い小集団の農地
        ⇒農地以外の土地や第3種農地に立地困難な場合等に許可

⑤ 第3種農地 ⇒鉄道の駅が300m以内にある等、市街地の区域又は市街地化の傾向が著しい区域にある農地
        ⇒原則許可

となっており、イメージ的には、今、優良な農地は原則転用不可、市街地化が見込まれる、もしくは市街地の区域で駅も付近にあるような場合は、原則許可、もしくは許可が認められえやすいということになります。

ここで、明確なデータに基づいたことではないですが、農地転用を多く手掛けている行政書士の先生方のお話によりますと、転用が原則許可の第3種農地は、すでに多くは転用済であり、手掛ける農地は、第2種農地がほとんどとのことです。

あと、農地の大きさを表す時に、「ヘクタール」という単位が用いられますが、メートル表記でいうと、1ヘクタールは、10000平方メートル、つまり、100メートル×100メートルの広さということになります。

次に、もう一つの基準 『一般基準』ですが、これは、許可申請の内容について、申請目的実現の確実性、被害防除措置等について審査し、適当と認められない場合は、許可できないとされているものです。
わかりやすくいうと、

申請目的実現の確実性としては、
・資力及び信用があると認められること、
・転用行為の妨げとなる権利を有する者の同意があること、

被害防除措置については、
・土砂の流出,崩壊等,災害を発生させる恐れがないこと、
・農業用用排水施設の有する機能に,支障を生ずる恐れがないこと
・周辺農地の営農に,支障を生ずる恐れがないこと
等が認められて、農地の転用ができるということになります。

以上は、都道府県知事の許可が必要な場合をお話してきましたが、転用の農地が、都市計画法における市街化区域内にある場合は、都道府県知事の許可ではなく、農業委員会への届出となります。
そして、届出が適法であれば受理し,受理通知書が発行される手順となります。

市街化区域は、そもそも市街化をはかる区域とされている所ですから、転用の手続きも、届出とされています。

農地転用でまず確認しなくてはいけないのは、転用したい農地が、どのような区域にあるのかの確認ですね。

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