帰化 ③

お疲れ様です。行政書士の亀井宏紀です。

さて、「帰化」についての続きです。

帰化の条件について、前回、項目を上げましたが、あくまでイメージですが、在留資格の永住者の審査基準を、より高くしたのが、帰化の条件といえます。

在留資格の永住者は、原則10年間日本に在留し、素行が善良であること、独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること、その者の永住が日本国の利益に合すると認められることが、永住資格を得るための条件でした。

そして帰化の申請者は、このような永住資格や長期の在留資格を有するものが申請するのが通常ですから、さらに、外国人として日本に住み続けるのではなく、日本人として住み続けることを、日本国政府が判断することですから、当然、審査は厳しくなります。

もっとも、ある条件に該当する者は、条件が緩和される場合があります。

それは、国籍法には一般的な『普通帰化』の他に、『簡易帰化』『大帰化』というものが設けられており、一部条件が緩和されています。
普通帰化については、国籍法5条で規定されていますが、『簡易帰化』については、国籍法6条から8条に規定されています。
せっかくなので、条文を引用してみてみると

「第6条 次の各号の一に該当する外国人で現に日本に住所を有するものについては、法務大臣は、その者が前条第一項第一号に掲げる条件を備えないときでも、帰化を許可することができる。

一 日本国民であつた者の子(養子を除く。)で引き続き三年以上日本に住所又は居所を有するもの
二 日本で生まれた者で引き続き三年以上日本に住所若しくは居所を有し、又はその父若しくは母(養父母を除く。)が日本で生まれたもの
三 引き続き十年以上日本に居所を有する者

第7条 日本国民の配偶者たる外国人で引き続き三年以上日本に住所又は居所を有し、かつ、現に日本に住所を有するものについては、法務大臣は、その者が第五条第一項第一号及び第二号の条件を備えないときでも、帰化を許可することができる。日本国民の配偶者たる外国人で婚姻の日から三年を経過し、かつ、引き続き一年以上日本に住所を有するものについても、同様とする。

第8条 次の各号の一に該当する外国人については、法務大臣は、その者が第五条第一項第一号、第二号及び第四号の条件を備えないときでも、帰化を許可することができる。

一 日本国民の子(養子を除く。)で日本に住所を有するもの
二 日本国民の養子で引き続き一年以上日本に住所を有し、かつ、縁組の時本国法により未成年であつたもの
三 日本の国籍を失つた者(日本に帰化した後日本の国籍を失つた者を除く。)で日本に住所を有するもの
四 日本で生まれ、かつ、出生の時から国籍を有しない者でその時から引き続き三年以上日本に住所を有するもの」

とあります。
詳細は、条文に書いてあるとうりですが、要約すると、
第6条に該当する者は、「住所要件」が緩和
第7条に該当する者は、「住所要件」及び「能力要件」が緩和
第8条に該当する者は、「住所要件」及び「能力要件」並びに、「生計要件」が緩和

となっています。

国籍法6条から8条に規定されている簡易帰化は、第5条のように、特に日本人と関係のない普通の外国人が、帰化する場合と異なり、もともとに日本人と何らかの関係がある者についての帰化ということになります。

特に第8条に該当する場合は、「住所要件」及び「能力要件」並びに、「生計要件」が緩和されていますが、該当する者は、日本人の子で、日本に住所を有する者などとされており、想定されるのは、まだ小さい日本人の子が、出生時に日本以外の国籍を取得していたが、今後、日本の国籍を取得したいといった場合であると考えられるので、要件自体を緩和しても、特に問題が生じないような場合といえると考えます。

次に、『大帰化』というものが、国籍法第9条に規定されています。
一応、条文をみてみると、

「第9条 日本に特別の功労のある外国人については、法務大臣は、第五条第一項の規定にかかわらず、国会の承認を得て、その帰化を許可することができる。」

とあります。
なんと、国会の承認を得て帰化できるというものですが、過去において、この条文の該当された例は、ありません。

次回は、普通帰化の条件の各詳細を確認したいと思います。

 

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