廃棄物処理法 ① 制定の背景

お疲れ様です。行政書士の亀井宏紀です。

さて、今回から、廃棄物処理法について見ていきたいと思います。

行政書士になった時に、「産業廃棄物収集運搬業」の許可申請という業務があることを知りました。
産業廃棄物を収集して、運搬するために必要な許可です。

実は、廃棄物処理法については、行政書士に登録前に勉強をしたことがあったので、収集運搬については知っていましたが、その許可申請を行政書士が行っていることは、知りませんでした。
このように、産業廃棄物の分野についても、行政書士は多くの事項で業務をおこなっています。
そこで、まずは、廃棄物処理法についての基本からじっくり確認していきたいと思います。

まず、一般的に「廃棄物処理法」と言われている法律ですが、一般の方も名前ぐらいは聞いたことがあるかと思います。
この法律の正式名称は、
「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」といいます。

法律の後の方に、清掃とついていますが、廃棄物処理法ができる前は、清掃法という法律があり、清掃法が1970年に全部改正して、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」が制定されたという経緯があります。

この1970年というのは、環境関係に関して大きなターニングポイントで、法律の制定されたこの年の国会は、
「公害国会」と言われています。

戦後の高度経済成長で、日本の経済は発展しましたが、その代わり、日本の環境汚染が深刻になっていきました。
もちろん、それ以前でも法律でなんらかの対策は行っていましたが、日本政府自体が、経済優先の政策をとっていたため、十分な効果はありませんでした。
しかし、日本の環境汚染が深刻な社会問題に発展し、大規模な公害も多く発生してきたため、抜本的な対策がとられました。
そこで、環境関係の多くの法律が制定されたのが、1970年の公害国会といわれるものです。
廃棄物処理法の他、水質汚濁防止法も制定され、大気汚染防止法などもこの国会で改正されています。

公害国会において、当時の内田厚生大臣が廃棄物処理法が制定された理由というのを話しているのが記録に残っているので、取り上げてみると、

「今日、わが国における産業活動の拡大、国民生活の向上等に伴って排出される各種の廃棄物は、膨大な量にのぼり、その質もまた著しく変化しております。特に、産業廃棄物の多くは、有害物質や処理の困難な物質を含み、公害の原因ともなっております。
 このような実態にかんがみ、産業廃棄物に関し事業者の処理責任を明確にするとともに、その処理の体系を整え、また、市町村が行なうべき一般廃棄物の処理区域を市町村の全域に拡大するなど、現行の清掃法を全面的に改め、廃棄物の処理に遺憾なきを期するためにこの法律案を提案いたしました。」
と、述べています。

ポイントとしては、「産業廃棄物に関し事業者の処理責任を明確にするとともに、その処理の体系を整え、廃棄物の処理に遺憾なきを期する」ことを今後は行っていくという所です。

これを行うために、企業側にもさまざまな対策が求められ、廃棄物処理法の中においても、多くの事項が定められています。

このような背景から、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」略称「廃棄物処理法」が制定されました。
次回から、廃棄物処理法の中身をみていきます。

 

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