廃棄物処理法 ② 汚染者支払原則

お疲れ様です。行政書士の亀井宏紀です。

さて、法律区分の中に環境法と言われる法律区分があります。
「行政法」と同じく、「環境法」という法律はなく、環境関係の法律が属する区分の名称です。
この環境法の中に、廃棄物処理法もあります。

この環境法については、各法律の間においても共通する概念が複数あり、特に廃棄物処理法と関係が深い概念に、

「汚染者支払原則(PPP)」というものがあります。

定義を確認してみますと、

「汚染者支払原則(polluter-pays principle 略称PPP)とは、環境負荷の対策費用や劣化させられた環境資源の現状回復費用は、その原因行為者が支払うべきという考え方をいう」

とされています。
つまり、わかりやすく言えば、自分が出したゴミは自分の費用で処分してね、また、環境資源を劣化させたらその費用も負担してね、というものです。

ここで、なぜ汚染者支払原則などという理屈がでてくるかというと、普通の人は、ゴミの品質に興味がなく、できれば、ゴミの処理にお金をかけたくないからです。
仮に、何らかの製品を作ったとして、その過程でゴミが出たとします。
製品は、販売すれば利益になりますが、ごみは原則、利益になりません。ゴミの処理にお金をかけなければ、その分利益は増えます。だから昔は、ゴミはそこらへんに、勝手に捨ててました。
大昔の時代ならそれでもよかったかもしれませんが、日本という狭い国土に、1億人以上が住んでいることを考えると、勝手にそこらへんにゴミを捨てるというわけにもいきません。

このようなことから、自分で出したゴミは、自分の費用で処理をすることが必要という理屈ができました。
ここで、先ほどから、「自分で出したゴミは、自分の費用で処理」と言って、「自分で出したゴミは、自分で処理」とは言っていません。
理屈から言えば、自分で出したゴミは、自分で処理するのが普通かと思います。
しかし、一般的に、現在の日本の経済システムを見てみると、多くの事項は、費用を出せば、当事者以外の第三者が、当事者に代わってその事項を行ってくれます。また、専門的な事項については、それを専門に扱っている者に依頼したほうが、効率的にも優れている場合が、多くあります。
このようなことから、自分で出したゴミの処理の費用を負担させることで、問題の解決をはかろうとする理屈が、汚染者支払原則であるといえます。
廃棄物処理法には、この汚染者支払原則のエッセンスが多く含まれています。
基本的な事項ではありますが、すごく大事なことなので、取り上げてみました。
次回から、廃棄物処理法の中身を見ていきたいと思います。

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