廃棄物処理法 ④ 廃棄物とは

お疲れ様です。行政書士の亀井宏紀です。

さて、廃棄物処理法の続きです。

第1条の目的に、「廃棄物」という言葉が出てきます。
廃棄物処理法が、廃棄物を処理する法律なのですから、当然なんですが、では「廃棄物」ってなんでしょうか?
イメージ的には、いらなくなったものとかでしょうか。なんかわかりそうで、ふわっとしたイメージしかない方も多いと思います。
しかし、安心してください。法律なので、定義というものが、第2条にのっています。
第2条をみてみると、
「(定義)
第二条 この法律において「廃棄物」とは、ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であつて、固形状又は液状のもの(放射性物質及びこれによつて汚染された物を除く。)をいう。」

とあります。
つまり、廃棄物とは、汚物又は不要物のことをいいます。
ここで、汚物は名称そのままmですので、実務的に問題となってくるのは、では「不要物」って何ですかということです。

先に、お話しておくと、実務においては当該物が「廃棄物」にあたることを前提に、その物を運搬したり、処理を行っていることが通常です。
しかし、前提たる、その物が廃棄物に該当しないのであれば、そもそも廃棄物処理法の適用範囲外になるので、許可が必要でなかったりする場合が発生します。
よって、「廃棄物」とは何か、また「不要物」とは何かを理解しておくことは、必要となってきます。

話を戻しますと、では、「不要物」って何ですが、実は、廃棄物処理法の中で、この「不要物」って何ということが、大きな論点となっています。
なぜか、「不要物」というのは、誰にとって不要なのかという、当事者の意思、解釈が入り込む余地があるからです。
例えば、長期間、大量に野積みされた使用済のタイヤがあった場合、所有者が、「このタイヤは、リサイクルするので、不要な物ではない」との意思がある場合、不要物にあたるのかどうかは、よくわからないケースが出てきます。
このような問題が多くあり、この「不要物」については、最高裁判所が、判断基準を示しました。
ぞくにいう、「おから決定」というものです(最高裁判所 決定 平成11年3月10日)。あの、豆腐を作る時にでる、「おから」のことです。

みなさんご存知のとおり、おからは、食べることができます。
スーパーとかでも、1袋100円ぐらいで売っていますよね。
しかし、豆腐の製造会社では、大量におからが発生します。すべてを食用には回せないので、豆腐の製造会社では多くのおからは、いらないものになります。
そこで、おからは「不要物」にあたるのかについて、最高裁判所は、「総合判断説」という立場に立ちました。
当該物が、「不要物」にあたるのかどうかを、総合的に判断するというものです。
そして、その総合的に判断する時の基準として

「不要物とは、自ら利用し又は他人に有償で譲渡することができないために事業者にとって不要になった物をいい、これに該当するか否かは、その物の性状、排出の状况、通常の取扱い形態、取引価値の有無及び事業者の意思等を総合的に勘案して決するのが相当である」
としました。
つまり、不要物に該当するか決める基準は

① その物の性状
② 排出の状况
③ 通常の取扱い形態
④ 取引価値の有無
⑤ 事業者の意思

を総合判断するということです。

最高裁判所の判断も見てみると

「おからは、豆腐製造業者によって大量に排出されているが、非常に腐敗しやすく、本件当時、食用などとして有償で取り引きされて利用されるわずかな量を除き、大部分は、無償で牧畜業者等に引き渡され、あるいは、有料で廃棄物処理業者にその処理が委託されており、被告人は、豆腐製造業者から収集、運搬して処分していた本件おからについて処理料金を徴していたというのであるから、本件おからは不要物に当たり」

としています。
当該物の特徴をみて、基準にあてはめ、判断していることになります。

以上より、当該物が、不要物にあたるかどうかは、総合的に判断するということになります。

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