ペット法務 ②

お疲れ様です。行政書士の亀井宏紀です。

さて、「ペット法務」の続きです。

前回は、ペット法務の仕事はこんなものがありますと紹介しました。
その中で、おそらくメインとなってくるのが、飼い主さんが亡くなった後のことについてです。

飼い主さんがが生きている間は、ペットに対して、飼い主さん自らが行うことができるので、なにか行動を起こすにしても、特に問題はありません。
しかし、飼い主さんが亡くなった後については、ペット、ここでは便宜上、犬のワンちゃんとしますが、ワンちゃんのことをどうするのか、お世話をどうしていくのかという問題が出てきます。
人間が亡くなった場合、原則は民法に基づいて、その後の権利関係などが整理されます。
しかし、悲しいかな、ワンちゃんは、法律上「物」扱いですので、亡くなった方の財産の一部として取り扱われます。
よって、どうなるかは、相続人がどうするか決めることになります。相続人の胸三寸です。
飼い主の死後、ワンちゃんのこのような不安定な立場を、なんとか解決できないか!との飼い主の気持ちからペット法務はできていると思います。

人間が死後に権利関係のことを残す方法としていくつかありますが、主なものとして
・遺言
・契約
・信託
などがあります。
ワンちゃんは、「物」ですので、このようなことはできませんが、飼い主ができることを通じて、飼い主がなくなった後のワンちゃんを守る手段は、とることができます。
以下、簡単に見ていきます。

「遺言」は、自分の死後、財産の分け方などを予め書面に書いておくことです。
遺言があれば相続人は遺言に従って財産を分けるのが原則となります。
よって、遺言の中に、ワンちゃんをお世話してくれる人を指名し、そのかわり財産の中から、飼育費用をその人に渡すということができます。
しかし、遺言は、亡くなった方の一方的な意思表示ですので、指名された方が、ちゃんとしてくれるかは、不明という面があります。
そこで、あらかじめワンちゃんをお世話してくれる人を決めておき、その方と約束するという手段があります。
つまり「契約」をするということです。
よく使われる契約類型として、「負担付贈与契約」というものがあります。
贈与とは、財産をあげることですので、この贈与にワンちゃんの世話をするという負担を付けた契約をします。
すなわち、お金をあげるので、ワンちゃんの世話をしてね、というものです。
​しかし、この場合も、契約は約束ですので、ちゃんと守られるのか、確認しなければならないという側面があります。
ここで、飼い主さんが亡くなった後でも、ワンちゃんをお世話するお金が残っていれば、通常そのお金を使って、お世話をしてくれる人はいます。飼い主さんの相続財産から、ワンちゃんの分をとっておくことができれば、そのお金を使って、ワンちゃんをお世話することは可能です。
このために、「信託」というものが用いられます。
信託とは、信用して委託すること、特に他人に一定の目的で財産の管理や処分をさせることをいいます。
詳細については省略しますが、この信託を行えば、ワンちゃんのための飼育費用を、相続財産と別に確保できるようになります。
結果的に、ワンちゃんのための財産が残っているので、飼い主さんが亡くなった後も安心となります。

このように、飼い主さんが亡くなった後のワンちゃんのことについて、様々な手法をとることはできますが、いろいろな手続きもからんできますので、家族の一員であるワンちゃんのことを心配されるなら、早めの対策を、専門家に相談することをおすすめします。

 

 

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