廃棄物処理法 ⑫ 契約の方法

お疲れ様です。行政書士の亀井宏紀です。

さて、廃棄物処理法の続きです。

産業廃棄物を排出した業者が、その処理を委託する場合、委託基準に従わないといけません。
廃棄物処理法の12条6項を見てみると

「事業者は、前項の規定によりその産業廃棄物の運搬又は処分を委託する場合には、政令で定める基準に従わなければならない。」

とあり、条文中の政令で定める基準は、廃棄物処理法施行令の6条の2に定められています。

見てみると

「第六条の二 法第十二条第六項の政令で定める基準は、次のとおりとする。

一 産業廃棄物(特別管理産業廃棄物を除く。以下この条から第六条の四までにおいて同じ。)の運搬にあつては、他人の産業廃棄物の運搬を業として行うことができる者であつて委託しようとする産業廃棄物の運搬がその事業の範囲に含まれるものに委託すること。

二 産業廃棄物の処分又は再生にあつては、他人の産業廃棄物の処分又は再生を業として行うことができる者であつて委託しようとする産業廃棄物の処分又は再生がその事業の範囲に含まれるものに委託すること。

三 輸入された廃棄物(当該廃棄物を輸入した者が自らその処分又は再生を行うものとして法第十五条の四の五第一項の許可を受けて輸入されたものに限る。)の処分又は再生を委託しないこと。ただし、災害その他の特別な事情があることにより当該廃棄物の適正な処分又は再生が困難であることについて、環境省令で定めるところにより、環境大臣の確認を受けたときは、この限りでない。

四 委託契約は、書面により行い、当該委託契約書には、次に掲げる事項についての条項が含まれ、かつ、環境省令で定める書面が添付されていること。

イ 委託する産業廃棄物の種類及び数量
ロ 産業廃棄物の運搬を委託するときは、運搬の最終目的地の所在地
ハ 産業廃棄物の処分又は再生を委託するときは、その処分又は再生の場所の所在地、その処分又は再生の方法及びその処分又は再生に係る施設の処理能力
ニ 産業廃棄物の処分又は再生を委託する場合において、当該産業廃棄物が法第十五条の四の五第一項の許可を受けて輸入された廃棄物であるときは、その旨
ホ 産業廃棄物の処分(最終処分(法第十二条第五項に規定する最終処分をいう。以下同じ。)を除く。)を委託するときは、当該産業廃棄物に係る最終処分の場所の所在地、最終処分の方法及び最終処分に係る施設の処理能力
ヘ その他環境省令で定める事項

五 前号に規定する委託契約書及び書面をその契約の終了の日から環境省令で定める期間保存すること。

六 第六条の十二第一号又は使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律施行令(平成二十五年政令第四十五号)第四条第一号の規定による承諾をしたときは、これらの号に規定する書面の写しをその承諾をした日から環境省令で定める期間保存すること。」

と、かなり長くなっています。

廃棄物処理法施行令  6条の2のポイントは

① 委託する内容が、当該処理業者が許可を受けた事業範囲に含まれていること
② 委託契約は書面でなされ、そこには、中間処理施設や最終処分施設の場所や処理能力などが記載されていなければならないこと

です。
また、廃棄物処理法施工規則 8条の4の2には、契約の書面についての詳細があがっており、こちらも長いですが一応確認すると

「第八条の四の二 令第六条の二第四号への環境省令で定める事項は、次のとおりとする。

一 委託契約の有効期間
二 委託者が受託者に支払う料金
三 受託者が産業廃棄物収集運搬業又は産業廃棄物処分業の許可を受けた者である場合には、その事業の範囲
四 産業廃棄物の運搬に係る委託契約にあつては、受託者が当該委託契約に係る産業廃棄物の積替え又は保管を行う場合には、当該積替え又は保管を行う場所の所在地並びに当該場所において保管できる産業廃棄物の種類及び当該場所に係る積替えのための保管上限
五 前号の場合において、当該委託契約に係る産業廃棄物が安定型産業廃棄物であるときは、当該積替え又は保管を行う場所において他の廃棄物と混合することの許否等に関する事項
六 委託者の有する委託した産業廃棄物の適正な処理のために必要な次に掲げる事項に関する情報
イ 当該産業廃棄物の性状及び荷姿に関する事項
ロ 通常の保管状況の下での腐敗、揮発等当該産業廃棄物の性状の変化に関する事項
ハ 他の廃棄物との混合等により生ずる支障に関する事項
ニ 当該産業廃棄物が次に掲げる産業廃棄物であつて、日本工業規格C〇九五〇号に規定する含有マークが付されたものである場合には、当該含有マークの表示に関する事項
(1) 廃パーソナルコンピュータ
(2) 廃ユニット形エアコンディショナー
(3) 廃テレビジョン受信機
(4) 廃電子レンジ
(5) 廃衣類乾燥機
(6) 廃電気冷蔵庫
(7) 廃電気洗濯機
ホ 委託する産業廃棄物に石綿含有産業廃棄物、水銀使用製品産業廃棄物又は水銀含有ばいじん等が含まれる場合は、その旨
ヘ その他当該産業廃棄物を取り扱う際に注意すべき事項
七 委託契約の有効期間中に当該産業廃棄物に係る前号の情報に変更があつた場合の当該情報の伝達方法に関する事項
八 受託業務終了時の受託者の委託者への報告に関する事項
九 委託契約を解除した場合の処理されない産業廃棄物の取扱いに関する事項」

と、書面に記載する内容が、細かく規定されています。

そしてこの契約についてですが、以前は3者契約でなされていることが多くありました。
どういうことかというと、廃棄物処理の登場人物をあげると

排出事業者
収集運搬業者
廃棄物最終処分業者
があり、
排出事業者 ⇒ 収集運搬業者 ⇒ 廃棄物最終処分業者と廃棄物は流れていきます。
廃棄物を取りに行く収集運搬業者が、排出事業者と廃棄物最終処分業者の間を取り持ち、1つの契約書に3者が調印するということで「3者契約」と言われる契約を行っていました。
この3者契約を行った場合、排出事業者は、排出する産業廃棄物の処理に関して、収集運搬業者に任せっきりになり、廃棄物の最終処分に対する意識が少なくなります。
その結果、排出事業者の処理責任が希薄化し、十分な費用が収集運搬業者に渡されず、廃棄物最終処分業者にも費用がいきわたらないことで、不適正処理や不法投棄の原因になると、考えられました。

そこで、3者契約から2者契約に改めるべく、廃棄物処理法が改正されました。
廃棄物処理法12条5項に定められており、確認してみると

「事業者は、その産業廃棄物その運搬又は処分を他人に委託する場合には、その運搬については第十四条第十二項に規定する産業廃棄物収集運搬業者その他環境省令で定める者に、その処分については同項に規定する産業廃棄物処分業者その他環境省令で定める者にそれぞれ委託しなければならない。」(条文中の括弧書きは略)

とあります。つまり、排出事業者は、運搬については収集運搬業者と契約し、またの処分については廃棄物最終処分業者と別個に契約しないといけないということです。

この関係で、産業廃棄物処理におけるマニフェスト(同じ言葉ですが、政党が公約をあげるものとは違います)
も登場してきます。
次回は、マニフェストについて確認します。

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