廃棄物処理法 ⑯ 事業系一般廃棄物?

お疲れ様です。行政書士の亀井宏紀です。

さて、廃棄物処理法の続きです。

廃棄物の種類を見てきましたが、事業系一般廃棄物について、もう少しくわしく見てみます。

まず、事業活動によって出された廃棄物は原則、産業廃棄物になります。
この産業廃棄物の種類は、全部で20種類あります。

もっとも、この20種類の中で、
・紙くす
・木くず
・繊維くず
・動植物性残さ
・動物性固形不要物
・動物ふん尿
・動物死体
・ばいじん

の7品目については、特定業種の特定行為から排出されたものだけを「産業廃棄物」としており、それ以外の事業活動に伴って排出されるは「事業系一般廃棄物」としています。
廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令の2条にて規定されており、この中で特定業種は、各品目ごとに決められています。

事業系一般廃棄物と産業廃棄物の説明でよく紹介されるパターンをいくつか紹介すると、

紙くずについていえば、

建設会社で住宅の新築工事現場から排出される紙くず  ⇒ 「産業廃棄物」
事務所から排出される紙くず             ⇒ 「事業系一般廃棄物」

動植物性残さについていえば

食品工場で排出される野菜や肉のくず         ⇒ 「産業廃棄物」
スーパーマーケットで排出される野菜や肉のくず    ⇒ 「事業系一般廃棄物」

木くずについていえば

流通業の倉庫から出る木パレット           ⇒ 「産業廃棄物」
流通業の倉庫で、梱包材として使用されえていた木くず ⇒ 「事業系一般廃棄物」

となります。
同じ事業所から排出されるものでも、その排出工程の違いによって
「産業廃棄物」と「事業系一般廃棄物」に区分されます。

なぜ、このようなめんどくさいことを行うのか、事業所から排出されるものは、すべて「産業廃棄物」で
いいのではないか、と思われたかと思います。

理由として、明確な文献は確認できませんでしたが、紙くず、木くずなどの指定7品目について、「産業廃棄物」のルートで処理を行うよりも、「一般廃棄物」のルートで処理するほうが、便宜上いい場合があります。

「一般廃棄物」は原則、市区町村が処理を行う義務があります。そして「一般廃棄物」の多くは家庭から排出されるもので、おのおのの家庭からは、通常は大量に排出されるものではありません。
小口のゴミにあたると思います。
そして、市区町村のゴミの処理ルートは、このような小口のゴミを集めて、処理するシステムに通常になっています。

であるならば、たとえ事業所から排出されたゴミであっても、小口のゴミである以上、ゴミの処理を行う上では、市区町村のゴミの処理ルートを利用するのが適しているのではないかということが言えます。

「事業系一般廃棄物」にあたる場合のゴミは、多くは、小口の場合が多いです。野菜や肉のくずが、食品工場で大量に出るような場合は、産業廃棄物のルートで処理したほうが適していますが、スーパーマーケットで排出される野菜や肉のくずは、一般家庭よりは多いとはいっても、食品工場までの量は出ません。

このように、いろいな事情を総合考慮して、なにが「事業系一般廃棄物」に該当するのかが決められえていると考えます。

もっとも、「事業系一般廃棄物」で、市区町村のゴミの処理ルートに乗せて処理する場合でも、あくまで事業者が排出した廃棄物ですから、汚染者支払い原則によって、費用負担は事業者がもちます。
あくまで、廃棄物の適正処理の観点から、区分されているということになります。

 

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