ガイドライン?

お疲れ様です。行政書士の亀井宏紀です。

さて、在留資格の変更及び在留期間の更新について、入国管理局が「ガイドライン」というものを出しています。
ガイドラインとは、一般的に「指針」と言われるもので、これに記載されている事項を判断の考慮にするというものです。
では、なぜ、法律のほかにこのようなガイドラインを出しているかというと、在留資格の変更及び在留期間の更新は、法務大臣が適当と認めるに足りる相当の理由があるときに限り許可することとされており、この相当の理由があるか否かの判断は、専ら法務大臣の自由な裁量に委ねられているからです。
まったく「自由な裁量」となると、申請を行う場合になにをどーしていいかわからないので、「ガイドライン」として、考慮する事項というものが公表されています。
それが、「在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン」です。

各項目を確認していきますが、ガイドラインの中にも注意点としてあるのが、
1の在留資格該当性については、許可する際に必要な 要件、2の上陸許可基準については、原則として適合していること必要、3以下の事項については、適当と認める相当の理由があるか否かの 判断に当たっての代表的な考慮要素であり、これらの事項にすべて該当する場合であっても、すべての事情を総合的に考慮した結果、変更又は更新を許可しないこともあるとしています。

以下、各項目です。長いですが、全文載せます。

『1 行おうとする活動が申請に係る入管法別表に掲げる在留資格に該当すること

申請人である外国人が行おうとする活動が,入管法別表第一に掲げる在留資格に ついては同表の下欄に掲げる活動,入管法別表第二に掲げる在留資格については同 表の下欄に掲げる身分又は地位を有する者としての活動であることが必要となります。

2 法務省令で定める上陸許可基準等に適合していること

法務省令で定める上陸許可基準は,外国人が日本に入国する際の上陸審査の基準 ですが,入管法別表第1の2の表又は4の表に掲げる在留資格の下欄に掲げる活動 を行おうとする者については,在留資格変更及び在留期間更新に当たっても,原則として上陸許可基準に適合していることが求められます。 また,在留資格「特定活動」については「出入国管理及び難民認定法第七条第一 項第二号の規定に基づき同法別表第一の五の表の下欄に掲げる活動を定める件」 (特 定活動告示)に該当するとして,在留資格「定住者」については「出入国管理及び 難民認定法第七条第一項第二号の規定に基づき同法別表第二の定住者の項の下欄に 掲げる地位を定める件」(定住者告示)に該当するとして,上陸を許可され在留して いる場合は,原則として引き続き同告示に定める要件に該当することを要します。 ただし,申請人の年齢や扶養を受けていること等の要件については,年齢を重ね たり,扶養を受ける状況が消滅する等,我が国入国後の事情の変更により,適合し なくなることがありますが,このことにより直ちに在留期間更新が不許可となるも のではありません。

3 素行が不良でないこと

素行については,善良であることが前提となり,良好でない場合には消極的な要 素として評価され,具体的には,退去強制事由に準ずるような刑事処分を受けた行 為,不法就労をあっせんするなど出入国管理行政上看過することのできない行為を 行った場合は,素行が不良であると判断されることとなります。

4 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること

申請人の生活状況として,日常生活において公共の負担となっておらず,かつ, その有する資産又は技能等から見て将来において安定した生活が見込まれること (世帯単位で認められれば足ります。)が求められますが,仮に公共の負担となっ ている場合であっても,在留を認めるべき人道上の理由が認められる場合には,そ の理由を十分勘案して判断することとなります。

5 雇用・労働条件が適正であること

我が国で就労している(しようとする)場合には,アルバイトを含めその雇用・ 労働条件が,労働関係法規に適合していることが必要です。 なお,労働関係法規違反により勧告等が行われたことが判明した場合は,通常, 申請人である外国人に責はないため,この点を十分に勘案して判断することとなり ます。

6 納税義務を履行していること

納税の義務がある場合には,当該納税義務を履行していることが求められ,納税 義務を履行していない場合には消極的な要素として評価されます。例えば,納税義務の不履行により刑を受けている場合は,納税義務を履行していないと判断されます。 なお,刑を受けていなくても,高額の未納や長期間の未納などが判明した場合も, 悪質なものについては同様に取り扱います。

7 入管法に定める届出等の義務を履行していること

入管法上の在留資格をもって我が国に中長期間在留する外国人の方は,入管法第 19条の7から第19条の13まで,第19条の15及び第19条の16に規定す る在留カードの記載事項に係る届出,在留カードの有効期間更新申請,紛失等によ る在留カードの再交付申請,在留カードの返納,所属機関等に関する届出などの義 務を履行していることが必要です。

<中長期在留者の範囲>
入管法上の在留資格をもって我が国に中長期間在留する外国人で,次の①~⑤ のいずれにも該当しない人
①「3月」以下の在留期間が決定された人
②「短期滞在」の在留資格が決定された人
③「外交」又は「公用」の在留資格が決定された人
④ ①~③の外国人に準じるものとして法務省令で定める人
⑤ 特別永住者 』

となっています。

在留資格の変更及び在留期間の更新を申請する場合は、これらのガイドラインに沿って、証拠資料を提出します。
入管での手続きは、刑事裁判とは違い、その事実の真正なることの立証責任は、全て私たち申請者側にあります。
疑わしきは罰せずではなく、疑わしくは許可しないです。

最後は、法務大臣 の自由な裁量になってきますので。

ちなみに、法務大臣 の自由な裁量について述べた最高裁判所の判例があります。
「マクリーン判決(昭和53年10月4日 大法廷判決)」です。
興味のある方は、検索してみてください。
事案自体も、大変興味深いものだと思います。
憲法の判例百選でも、1番目か2番目には掲載されている判例です。

つまり、憲法の勉強で最初に読む判例ということですね。

コメントを残す

サブコンテンツ

このページの先頭へ