技能実習計画認定初の取り消し

お疲れ様です。行政書士の亀井宏紀です。

さて、先日、技能実習制度において、初めて技能実習計画の認定が取り消されるということがありました。
取り消された企業は愛媛県の縫製会社のようですが、取り消しの理由は、当該企業が、入国管理法で違反を行い、罰金刑を受けたため、もともの認定されていた、技能実習計画認定が取り消されたというものです。

ポイントは、この当該企業は、もともと認定を受けていた技能実習計画に違反したから、取り消されたのではなく、別の法律違反を行ったため、認定が取り消されたというものです。

産業廃棄物の収集運搬の許可を得ている企業の役員が、刑法などほかの法律で禁錮以上の刑を受けた場合も、
取り消されるので、このように他の法律違反が原因で、取り消されることはあります。

今回の認定取り消しについては、わざわざ法務省のプレスリリースで公表され、そしてご丁寧に、参照条文までつけてくれています。いってみれば、法律の適用がややこしいので、載せたと思われます。

せっかくなので、今回の技能実習計画の認定取消の法律上の適用の仕組みを確認したいと思います。

まずは、外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律(以下「技能実習法」という)の
第16条第1項第3号を見ます。

「(認定の取消し等)

第十六条 主務大臣は、次の各号のいずれかに該当するときは、実習認定を取り消すことができる。
一、二(略)

三 実習実施者が第十条各号のいずれかに該当することとなったとき」

となっています。「第十条各号のいずれかに該当」すれば、「実習認定を取り消すことができる」と
なっているので、第十条各号を見ます。

「(認定の欠格事由)

第十条 次の各号のいずれかに該当する者は、第八条第一項の認定を受けることができない。

一(略)

二 この法律の規定その他出入国若しくは労働に関する法律の規定(第四号に規定する規定を除く。)であって政令 で定めるもの又はこれらの規定に基づく命令の規定により、罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行 を受けることがなくなった日から起算して五年を経過しない者

2 主務大臣は、前項の規定による実習認定の取消しをした場合には、その旨を公示しなければならない」

とあります。

この中の「出入国又は労働に関する法律の規定」で罰金を受けたら、「第八条第一項の認定を受けることができない」とあるので、「出入国又は労働に関する法律の規定」となにかを見る必要があります。

これは、外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律施行令の第一条にあり
「第一条

外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律 第十条第二号の 出入国又は労働に関する法律の規定であって政令で定めるものは、次のとおりとする。

一~四(略)

五 出入国管理及び難民認定法」

となっており、出入国管理及び難民認定法(入管法)が対象となっています。

そして、入管法の第七十三条の二には、

「第七十三条の二
次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこ れを併科する。

一 事業活動に関し、外国人に不法就労活動をさせた者

二 外国人に不法就労活動をさせるためにこれを自己の支配下に置いた者

三 業として、外国人に不法就労活動をさせる行為又は前号の行為に関しあつせんした者 」

と規定されています。

今回の認定を取り消された愛媛県の縫製会社は、短期滞在で日本に来た外国人を雇って働かせていたようで、短期滞在できた外国人は、日本で働くことができません。
よって、入管法 第七十三条の二 に該当し、罰金を受けたとなります。

とすると、最初に戻って、技能実習法の第十条にあたり、第十六条より認定が取り消され、また、第十条二項より、今回のように、法務省のホームページにて、公示されたというぐあいです。

技能実習計画の認定は、今は許可性になっており、認定を受けるためには相当いろいろと対応しなくてはなりません。
しかし、せっかくとった認定も、刑罰を受けると、取り消されます。

しっかりと、法令順守を行うことが大切です。

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