特定技能 (在留資格 仮称)

お疲れ様です。行政書士の亀井宏紀です。

さて、入管を扱っている行政書士の間では、来年の春にも創設されるであろう、新しい在留資格「特定技能(仮称)」について、どんなのになるんだろうと、いろいろ憶測が出ています。

政府も、6月15日に発表した、骨太方針2018で、来年の春には新しい在留資格の創設をあげており、大きな枠組みの提示はしているように思えます。
また、7月24日には、「外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議」が行われ、ここでもおおまかな枠組みは提示されています。

そこで、まずはこの二つの外国人関連の部分を紹介してみます。
まずは、骨太方針の方から。

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『政府 骨太方針2018』外国人関係

4.新たな外国人材の受入れ

中小・小規模事業者をはじめとした人手不足は深刻化しており、我が国の経済・社会 基盤の持続可能性を阻害する可能性が出てきている。このため、設備投資、技術革新、 働き方改革などによる生産性向上や国内人材の確保を引き続き強力に推進するとともに、 従来の専門的・技術的分野における外国人材に限定せず、一定の専門性・技能を有し即 戦力となる外国人材を幅広く受け入れていく仕組みを構築する必要がある。 このため、真に必要な分野に着目し、移民政策とは異なるものとして、外国人材の受 入れを拡大するため、新たな在留資格を創設する。また、外国人留学生の国内での就職 を更に円滑化するなど、従来の専門的・技術的分野における外国人材受入れの取組を更 に進めるほか、外国人が円滑に共生できるような社会の実現に向けて取り組む。

(1)一定の専門性・技能を有する外国人材を受け入れる新たな在留資格の創設

現行の専門的・技術的な外国人材の受入れ制度を拡充し、以下の方向で、一定の専門性・技能を有し、即戦力となる外国人材に関し、就労を目的とした新たな在留資格を創設する。

① 受入れ業種の考え方

新たな在留資格による外国人材の受入れは、生産性向上や国内人材の確保のための取組(女性・高齢者の就業促進、人手不足を踏まえた処遇の改善等)を行ってもなお、当該業種の存続・発展のために外国人材の受入れが必要と認められる業種において行う。

② 政府基本方針及び業種別受入れ方針

受入れに関する業種横断的な方針をあらかじめ政府基本方針として閣議決定するとともに、当該方針を踏まえ、法務省等制度所管省庁と業所管省庁において業種の特性を考慮した業種別の受入れ方針(業種別受入れ方針)を決定し、これに基づき外国人材を受け入れる。

③ 外国人材に求める技能水準及び日本語能力水準

在留資格の取得に当たり、外国人材に求める技能水準は、受入れ業種で適切に働くために必要な知識及び技能とし、業所管省庁が定める試験等によって確認する。また、日本語能力水準は、日本語能力試験等により、ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度の能力を有することが確認されることを基本としつつ、受入れ業種ごとに業務上必要な日本語能力水準を考慮して定める。ただし、技能実習(3年)を修了した者については、上記試験等を免除し、必要な技能水準及び日本語能力水準を満たしているもの とする。

④ 有為な外国人材の確保のための方策

有為な外国人材に我が国で活動してもらうため、今後、外国人材から保証金を徴収するなどの悪質な紹介業者等の介在を防止するための方策を講じるとともに、国外において有為な外国人材の送り出しを確保するため、受入れ制度の周知や広報、外国における 日本語教育の充実、必要に応じ政府レベルでの申入れ等を実施するものとする。

⑤ 外国人材への支援と在留管理等

新たに受け入れる外国人材の保護や円滑な受入れを可能とするため、的確な在留管理・ 雇用管理を実施する。受入れ企業、又は法務大臣が認めた登録支援機関が支援の実施主 体となり、外国人材に対して、生活ガイダンスの実施、住宅の確保、生活のための日本 語習得、相談・苦情対応、各種行政手続に関する情報提供などの支援を行う仕組みを設 ける。また、入国・在留審査に当たり、他の就労目的の在留資格と同様、日本人との同 等以上の報酬の確保等を確認する。加えて、労働行政における取組として、労働法令に 基づき適正な雇用管理のための相談、指導等を行う。これらに対応するため、きめ細か く、かつ、機能的な在留管理、雇用管理を実施する入国管理局等の体制を充実・強化する。

⑥ 家族の帯同及び在留期間の上限

以上の政策方針は移民政策とは異なるものであり、外国人材の在留期間の上限を通算 で5年とし、家族の帯同は基本的に認めない。ただし、新たな在留資格による滞在中に 一定の試験に合格するなどより高い専門性を有すると認められた者については、現行の 専門的・技術的分野における在留資格への移行を認め、在留期間の上限を付さず、家族 帯同を認めるなどの取扱いを可能とするための在留資格上の措置を検討する。

(2)従来の外国人材受入れの更なる促進

留学生の国内での就職を促進するため、在留資格に定める活動内容の明確化や、手続 負担の軽減などにより在留資格変更の円滑化を行い、留学生の卒業後の活躍の場を広げ る。また、「高度人材ポイント制」について、特別加算の対象大学の拡大等の見直しを 行う。これらの前提として、日本語教育機関において充実した日本語教育が行われ、留 学生が適正に在留できるような環境整備を行っていく。さらに、留学生と企業とのマッ チングの機会を設けるため、ハローワークの外国人雇用サービスセンター等を増設する。 また、介護の質にも配慮しつつ、相手国からの送出し状況も踏まえ、介護の技能実習 生について入国1年後の日本語要件を満たさなかった場合にも引き続き在留を可能とする仕組みや、日本語研修を要しない一定の日本語能力を有するEPA介護福祉士候補者 の円滑かつ適正な受入れを行える受入人数枠を設けることについて検討を進める。この ほか、クールジャパン関連産業の海外展開等を目的とする外国人材の受入れを一層促進 するための方策や、我が国における外国人材の起業等を促進し、起業家の受入れを一層 拡大するための方策について検討を進める。

(3)外国人の受入れ環境の整備

上記の外国人材の受入れの拡大を含め、今後も我が国に滞在する外国人が一層増加することが見込まれる中で、我が国で働き、生活する外国人について、多言語での生活相 談の対応や日本語教育の充実をはじめとする生活環境の整備を行うことが重要である。 このため、2006 年に策定された「『生活者としての外国人』に関する総合的対応策」51を 抜本的に見直すとともに、外国人の受入れ環境の整備は、法務省が総合調整機能を持って司令塔的役割を果たすこととし、関係省庁、地方自治体等との連携を強化する。このような外国人の受入れ環境の整備を通じ、外国人の人権が護られるとともに、外国人が 円滑に共生できるような社会の実現に向けて取り組んでいく。 なお、法務省、厚生労働省、地方自治体等が連携の上、在留管理体制を強化し、不法・ 偽装滞在者や難民認定制度の濫用・誤用者対策等を推進する。

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以上、結構ありました。

次は、『外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策』です。

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外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策 (検討の方向性)(案)

4 外国人材の受入れに向けた取組

(1)新たな外国人材の受入れ制度の実施に向けた取組
新たな制度において、外国人材の円滑な受入れを進めるため、我が国での就労を希望する外国人材が安心して日本に入国し、生活・就労することができるよう、外国人材の支援 体制の整備を図る。

① 受入れ企業又は登録支援機関が行う支援の具体化
○新たに受け入れる外国人材の保護や円滑な受入れを可能とするため、受入れ企業、 又は法務大臣が認めた登録支援機関が支援の実施主体となり、外国人材に対して、生 活ガイダンスの実施、住宅の確保、生活のための日本語習得、相談・苦情対応、各種 行政手続に関する情報提供等の支援を行う仕組みを設ける。また、こうした支援の仕 組みが円滑に機能するよう、業界の実態に応じて、受入企業等に対する巡回指導や就 労状況の実態把握等を実施する。

② 悪質な仲介事業者等の排除
○ 外国人材の送出しに際して送出機関が介在する場合に、在留資格認定証明書交付申 請時等に、保証金や違約金に係る契約等を締結していないことについて確認する等、 外国人材から保証金・違約金を徴収するなど悪質な仲介事業者等の介在を防止するための措置を講じる。

③ 新たな外国人材の円滑な受入れの促進
○ 業所管省庁において、新制度で受け入れる外国人材の技能水準を評価・確認するための試験制度を整備するとともに、業所管省庁を含む関係府省・関係機関が連携して、 送出国において試験が適正に実施されるために必要な措置を講じる。

必要とされる分野への外国人材の受入れが円滑に進むよう、テキストの作成・翻訳 や、現地における教育訓練プログラムの策定、インターネット等による学習環境の整 備など、外国人材の学習を支援し、受験を促進するための取組みを行う。

④ 新たな受入れ制度の周知・広報
○ 在外公館、国際交流基金等の独立行政法人の海外事務所等を通じ、新たな外国人材 の円滑な受入れに向けた周知・広報を行う。

(2)海外における日本語教育の充実
外国人材に対する需要が高まる中、各国において日本語能力を有する人材が持続的に 輩出される体制を整えることが必要となっている。このため、日本での就業を目的とする日本語教育を拡充し、日本語学習者数全体の拡大を図るとともに、日本での就業に必 要な日本語能力を確認でき、かつ公正を担保し得るテストを用意するなど、新たな受入 れ制度で来日する外国人を想定し、新たな日本語教育事業の展開を図る。
○ 日本国内での生活・就労に必要な日本語能力を、外国語能力判定の国際標準を踏ま え確認できる能力判定テストを改訂する。
○外国人材の受入れ拡大に必要な日本語教育を効果的に行えるようにするため、能力 判定テストの受験者・合格者を増やしていくための成人教育を念頭においたカリキュ ラムと教材を開発する。
○ 現地語を使いながら教えることができる現地教師の確保・拡大が不可欠であること から、日本から派遣する日本語教育専門家を拡大し、カリキュラムと教材を活用して、 受け入れる外国人材の規模に見合う現地教師の育成を進める。
○ 外国人材が日本語を学べる場を増やすことを目的として、日本語教師の給与助成な ど各国の教育機関の活動に対する支援を拡充するとともに、日本語教育の質を上げる ため日本語ネイティブ教師を養成し教育機関に派遣する。
○日本への入国・在留が増加している東南アジア諸国に加え、将来にわたって外国人 材の受入れが可能となるよう、より多くの国で日本語教育基盤の強化を図る。

5 新たな在留管理体制の構築

(1)在留資格手続の円滑化・迅速化
新たな制度において、我が国での就労を希望する外国人材が増加することが見込まれて おり、これらの在留外国人が地方入国管理官署の窓口において在留諸審査の受付のために 長時間待つことのないよう、外国人の負担軽減を図るため、在留諸審査手続に係る円滑化・ 迅速化を進めるための体制を整備する。

① オンライン申請の開始
○ 外国人を適正に雇用し、また外国人雇用状況届出等を履行している等の一定の要件 を満たす所属機関を対象に、外国人本人に代わって手続を行うことを可能とする在留資格手続上のオンライン申請手続の一部を本年度から開始する。

② 申請手続の負担軽減
○ 各種識別番号の活用を通じた行政機関間の情報連携により、在留外国人の在留状況 (就労状況、身分の変動等)を正確かつ確実に把握することにより、在留資格手続の 際に提出を求めている各種証明書の提出を不要とするなど、申請手続上の更なる負担 軽減を図るための制度の在り方を検討する。

(2)在留管理基盤の強化
今後、外国人材の受入れはますます拡大していき、その活動も多岐にわたっていくも のと考えられることから、在留外国人の在留状況を正確かつ確実に把握し、的確な在留 管理を行うことがこれまで以上に重要になってきている。増加する在留外国人の在留管 理に的確に対応するとともに、偽装滞在者等の悪質事案を発生させないようにするため、 在留外国人に係る情報を一元的に管理して、より迅速かつ正確に就労状況等を把握でき るよう、在留管理基盤の強化を図る。また、きめ細かく、かつ、機能的な在留管理等を実施するため、法務省の体制を充実・ 強化する。

① 在留状況、雇用状況の正確な把握のための情報連携
○ 法務省が保有する在留管理情報と厚生労働省が保有する外国人雇用状況届出の情 報が突合できない事案や、事業主が外国人雇用状況届出の義務を履行していないと疑 われる事案について、両省間で情報共有を行い、不突合情報がある事業主への確認等 を行い、外国人の就労状況を正確に把握する。

② 業種・職種・在留資格別等の就労状況を正確に把握する仕組みの検討
○ 在留資格更新・変更申請書等の記載事項の見直し等、受入れ外国人材に係る業種・職 種・在留資格別などの就労状況を正確に把握する仕組みを構築する。

(3)不法滞在者等への対策強化
我が国には依然として多数の不法滞在者が存在し、その多くが不法就労に従事している ものとみられる。近年、偽変造の在留カード等を行使して就労する事案など、手口が悪質・ 巧妙化するとともに、不法滞在者等が不法就労助長等の犯罪インフラ事犯と密接に関連し ている。今後、新たな外国人材の受入れ等によって、更に在留外国人数が増加する見込み であることも踏まえ、不法就労等の撲滅に向けた取締り等の一層の強化を図る。
○ 不法滞在事犯及び偽装滞在事犯等の取締りの推進のため、地方入国管理官署が警察 等関係機関との協力関係を強化し、緊密な情報共有を行うとともに、収集した情報の 分析を強化することにより、効果的かつ効率的な摘発の推進に努める。
○ 退去強制令書が発付されているものの、送還を忌避し、更には諸般の事情で仮放免 されている外国人については、動静を適切に把握するとともに、送還の支障となって いる事由の解決・解消に努め、可能な限り早期に退去強制令書を執行する。
○ こうした犯罪や非行をした在留外国人に対し、矯正施設を始めとした刑事司法関係 機関による、適切な処遇等の実施に努める。
○ 平成30年1月から実施している「難民認定制度の運用の更なる見直し」の実施状 況を踏まえて、濫用・誤用的な申請への更なる対策を講じる。

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以上です。こっちも長いです。

特定活動については、骨太の方で、大まかなことが提示されています。特定活動の在留資格を「一定の専門性・技能を有する外国人材を受け入れる新たな在留資格」としており、受入れ業種の考え方としては、

「新たな在留資格による外国人材の受入れは、生産性向上や国内人材の確保のための取組(女性・高齢者の就業促進、人手不足を踏まえた処遇の改善等)を行ってもなお、当該業種の存続・発展のために外国人材の受入れが必要と認められる業種において行う」としています。

具体的な業種の案内はありませんが、各種新聞記事などによると、当初はより人出不足が深刻な5業種

・建設

・農業

・造船

・介護

・宿泊

とされていました。しかし、その後、製造業などの業界団体が自民党や関係省庁に受入業種の拡大を要望し、他の業種にも拡大される方向で検討に入っているとされています。

技能実習制度が、現在77職種に認められているので、ここまでいかないそしても、かなりの数の業種が認められるかもしれません。

 

 

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