技術・人文知識・国際業務の要件 その1

行政書士の亀井宏紀(かめいひろき)です。

日本へ留学のビザで来ている留学生は、学校を卒業後、日本に留まり、会社等に就職する場合、多くの方は「技術・人文知識・国際業務」というビザに変更します。

このビザで、働くことができる職種は、わかりやすいイメージでいえば、
「日本人の大学生が学校を卒業後に、将来の幹部候補生として、会社に正社員として採用されるような職種」つまり、大学の新卒者が、ホワイトカラーの仕事(現業ではないという意味)をするような場合が、該当します。あくまで、イメージなので、詳細を確認します。

その前に、大前提なのですが、この「技術・人文知識・国際業務」の在留資格(ビザ)は、現業と言われる単純労働のビザではないので、現業の職場で、単純労働だけをするような仕事の場合には、取得できません。

今年の四月に、入国管理局(出入国在留管理庁)より、この技術・人文知識・国際業務のガイドラインが、公表されたのですが、その中にも、

『一般的に,求人の際の採用基準に「未経験可,すぐに慣れます。」と記載のあるような業務内容は、技術・人文知識・国際業務では、認められません』
とはっきり言っています。
ですので、ある程度の専門性、専門知識が必要とされる仕事が、この技術・人文知識・国際業務というビザにあたるということになります。
では実際に、この「技術・人文知識・国際業務」を取得するための要件ですが、下記の条件を満たす必要があります。

1 本邦の公私の機関との契約に基づくものであること

2 自然科学又は人文科学の分野に属する技術又は知識を要する業務に従事する活動であること

3 従事しようとする業務に必要な技術又は知識に関連する科目を専攻して卒業していること

4 日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること

5 素行が不良でないこと

6 入管法に定める届出等の義務を履行していること

となります。

「1 本邦の公私の機関との契約に基づくものであること」
についてですが、「本邦の公私の機関」は、民間の会社だけでなく、国、地方公共団体、独立行政法人、外国の法人が含まれますし、個人の事務所で仕事をしているような場合も、含まれます。
また「契約に基づくもの」は、その本邦の公私の機関と外国人との間で、ちゃんと契約をして、仕事をしてもらってくださいという意味です。
この契約は、多くは雇用契約になると思いますが、委任契約、委託契約、嘱託契約等も含まれます。もっとも、この契約は、一回仕事をすれば終了するようなものではだめで、継続的なものでなければなりません。

「2 自然科学又は人文科学の分野に属する技術又は知識を要する業務に従事する活動であること」
についてですが、この要件が技術・人文知識・国際業務が、単純労働のビザではなく、専門的な職種でなければならないと言われている所以です。
自然科学の代表的な分野としては、

数理科学、物理科学、化学、生物科学、人類学、地質科学、地理学、地球物理学、科学教育、統計学、情報学、核科学、基礎工学、応用物理学、機械工学、電気工学、電子工学、情報工学、土木工学、建築学、金属工学、応用化学、資源開発工学、造船学、計測 ・ 制御工学、化学工学、航空宇宙工学、原子力工学、経営工学、農学、農芸化学、林学、水産学、農業経済学、農業工学、畜産学、獣医学、蚕糸学、家政学、地域農学、農業総合科学、生理科学、病理科学、内科系科学、外科系科学、社会医学、歯科学、薬科学

人文科学の代表的な分野としては、

語学、文学、哲学、教育学(体育学を含む。)、心理学、社会学、歴史学、地域研究、基礎法学、公法学、国際関係法学、民事法学、刑事法学、社会法学、政治学、経済理論、経済政策、国際経済、経済史、財政学・金融論、商学、経営学、会計学、経済統計学

となっています。

つまり、これらの技術・知識を使うような業務に従事する場合が、技術・人文知識・国際業務での仕事ということになります。

次回に続きます。

コメントを残す

サブコンテンツ

このページの先頭へ