技術・人文知識・国際業務の要件 その2

行政書士の亀井宏紀(かめいひろき)です。

「技術・人文知識・国際業務」を取得するための要件の続きです。

「3 従事しようとする業務に必要な技術又は知識に関連する科目を専攻して卒業していること」についてですが、

従事しようとする業務に必要な技術又は知識に係る科目を専攻していることが必要であり、そのためには、大学・専修学校において専攻した科目と従事しようとする業務が関連していることが必要とされています。

ここで大事なのは、大学・専修学校において専攻した科目と、従事しようとする業務が「関連している」ということです。

つまり、学校で自身が学んできたことを、生かすことができるものでないといけないということです。そして、その関連の程度ですが、大学と、専修学校では、必要とされる関連の程度に差があります。
出入国在留管理庁のガイドラインでは、

『大学は,学術の中心として、広く知識を授けるとともに、深く専門の学芸を教授研究し、知的、道徳的及び応用的能力を展開させることを目的とし、また、その目的を実現するための教育研究を行い、その成果を広く社会に提供することにより、社会の発展に寄与するとされており(学校教育法第83条第1項,第2項)、このような教育機関としての大学の性格を踏まえ,大学における専攻科目と、従事しようとする業務の関連性については、従来より柔軟に判断しています

他方、専修学校は、職業若しくは実際生活に必要な能力を育成し、又は教養の向上を図ることを目的とするとされている(同法第124条)ことから、専修学校における専攻科目と従事しようとする業務については、相当程度の関連性を必要とします。』

と、記されています。

大学で履修した場合は、「柔軟に判断」してもらえるのに対し、専修学校で履修した場合は、「相当程度の関連性」が必要とされるということです。つまり、専修学校の場合は、学校で履修したことが、そのまま生かされるような業務でないと、関連性があるとは、認められないということになります。

「4 日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること」についてですが、
これは、就職する会社に、日本人がいる場合は、その方と同じかそれ以上の報酬(給料)をもらうということです。

言い換えれば、「外国人だから、給料は安くてもいいか!」は、ダメだということです。

一方、逆のパターン「外国人だから、給料は高くだす!」は、もちろんOKです。

「5 素行が不良でないこと」についてですが、
これは、素行が善良であることが前提となり,良好でない場合には消極的な要素として評価されます。
素行が不良は、いろいろなケースがありますが、よくある例が、留学生時代に、1週間に28時間を超えてアルバイトに従事しているような場合は、素行が善良であるとは、見られません。

せっかく、日本で頑張って就職して働こうと思って、留学に来ていても、留学時代にアルバイトばかりしている人は、そもそも、このビザはもらえないということになります。

「6 入管法に定める届出等の義務を履行していること」
についてですが、これは、在留状況に変更などがあった場合は、ちゃんと期限までに届けているかということです。
外国人が日本に在留るす場合は、入国管理局側も、外国人の現在の在留状況を確認しておく必要があります。
ですので、ちゃんとその義務を果たしている者でないといけないということになります。

以上が、在留資格「技術・人文知識・国際業務」の取得のための要件となります。

項目がたくさんありましたが、この技術・人文知識・国際業務というビザは、

・留学生時代に、ちゃんと学校で勉強して卒業し

・学校で学んだ技術・知識を生かせ、かつ、ちゃんとした給料を払ってくれる会社の内定をもらい

・アルバイトも決められた時間内だけにして、

・在留状況に変更があった場合には、期限までに届け出る

という、当たり前のことをしておけば、特にハードルが高いビザではありません。

今回は、わかりやすように、外国からの留学生が日本に会社に就職する場面をとりあげましたが、外国の大学を卒業し、現在、外国にいる方も、この技術・人文知識・国際業務のビザで働くことができます。

より詳しいことは、お近くの行政書士に聞いてみてください。

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