在留資格を再確認 ⑦ 「企業内転勤」
お疲れ様です。行政書士の亀井宏紀です。
さて、在留資格についてですが、一人の外国人で、複数の在留資格の要件を満たすような場合があります。
例えば、在留資格に「企業内転勤」というものがあるのですが、簡単にいうと、外国にある会社が、日本にも支店があるので、外国にいる自社の従業員を、日本の支社に転勤させるような場合です。
もっとも、どんな外国人でも日本に「企業内転勤」の在留資格で来れるかというと、そんなわけはなく、在留資格「技術・人文知識・国際業務」に当てはまるような仕事をしていた方が、外国から日本の支社などに転勤してくるような場合が、「企業内転勤」の要件ということになります。
あと、外国の会社等で、一年以上、継続して勤務していたことも、「企業内転勤」の要件となります。
いってみれば、外国の会社から、その日本の支社への転勤ですから、ちゃんと働き口もありしっかり生活もできるだろうということで、比較的、在留資格の要件はゆるやかです。
ここで、「企業内転勤」の在留資格でくる外国人は、「技術・人文知識・国際業務」に該当するような仕事をしていた人ですから、在留資格「技術・人文知識・国際業務」に該当するような場合があります。
つまり、「技術・人文知識・国際業務」は、原則、実務経験を必要とされますから、外国で長期間、その仕事に従事していたような場合、「企業内転勤」でありながら、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の要件として必要な、実務経験も満たすような場合が発生します。
このような場合に、では、実際は在留資格の申請を、どちらで出すのかという問題が発生します。
「企業内転勤」と、「技術・人文知識・国際業務」の特徴を見ると、「企業内転勤」は、あくまで、その該当企業に転勤してきたのだから、仮に、その企業を辞めてしまったような場合、適法な在留資格がなくなり、母国に帰らないといけなくなります。
しかし、「技術・人文知識・国際業務」は、その企業で働くことを前提にはされていますが、その外国人の能力や実務経験に基づき、与えられている要素が高い在留資格ですから、もし、仮に、今の企業を辞めて退職した場合、次に転職する企業でも、新たな在留資格が認められる可能性があります。
このように、当該外国人にとっては、「企業内転勤」と、「技術・人文知識・国際業務」の両方の在留資格の要件を満たすような場合、「技術・人文知識・国際業務」の方が、メリットがあるといえます。
しかし、会社の経営者によっては、あえて、両方満たすような場合でも、「企業内転勤」での申請を依頼する場合があります。
なぜか、せっかく日本に呼んだのに、会社を辞められたら困るからです。
「企業内転勤」なら、その企業を辞める⇒在留資格がなくなる、ですから、経営者も、当該外国人は辞めないだろうと思って、申請します。
まあ、行政書士にとって、依頼者がお客様ですので、十分各事情を説明の上、最終決定は、依頼者様のとおりに申請はしますが、私は、「技術・人文知識・国際業務」で申請して、当該外国人が、辞めないような職場環境を作るほうが、いいんじゃないかと、心の中では思っております。
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