合同会社のメリット
お疲れ様です。行政書士の亀井宏紀です。
さて、「会社を作る」ときいた時のイメージとしては、多くの方は、「株式会社」をイメージすると思います。
実際、会社の種類の中で一番多いのは、株式会社ですし、一般の方は、株式会社以外に、会社の種類があることも知らない方も多いと思います。
そこで、今回は、会社の種類の中で、「合同会社」というものを紹介したいと思います。
合同会社が規定されているのは、会社法という法律の中の、第三編 持分会社という所です。
「合名会社」「合資会社」「合同会社」の3つをまとめて、持分会社というのですが、この3つの会社、何が違うのかというと、責任の所在に違いがあります。
正確な表現ではないですが、わかりやすく説明すると、会社を作った人に、責任をどこまで負ってもらうかで会社の種類が違います。
合名会社は、問題があった時に、会社を作った人が自分の財産をはたいても責任を負う人(無限責任社員といいます)だけで構成されている会社、合資会社は、自分の財産をはたいても責任を負う人と、決まった額までしか責任を負わない人(有限責任社員といいます)の2種類の人で構成されている会社、最後に、合同会社は、決まった額までしか責任を負わない人、つまり有限責任社員でのみ構成されている会社のことを言います。
ここで話は少しそれますが、なぜ、「株式会社」は、株式会社というのでしょうか?それは、株式でできている会社だからです。
株式とは、株式会社の資本構成単位のことで、いうなれば、資金を出資したことの証です。
そもそも株式会社ができたのは、個人でなにか行う場合は、あまり大規模なことはできないけれど、少額の資金をもっている人が、事業を行いたい人に資金を出資し、大きな額の資金とすることで、大規模な事業などを行うことを可能にする仕組みようにしたことです。
その資金が、株式という割合的な単位としてどれだけ出資したのかがわかるようになっています。
そして、その出資をもとに、儲ける、利益を出すのが株式会社です。
もっとも、株式会社も、事業がうまくいかずに、倒産してしまうこともあります。
その際に、株式会社に出資した出資者が責任を負う範囲は、自分が出資した株式の範囲までとなります。
仮に、会社に資金がなくなっても、株式の出資者に、自己の財産をもって責任をとることまでは要求されません。
このことを間接有限責任といい、一度、株式として出資した額までしか責任をおわない、つまり、すでに出資している資金は、なくなるかもしれないけど、それ以上の責任はおわないことを意味します。
これが、株式会社が発展した理由で、一度株式として出資した額までしか責任をおわないことで、安心して資金を出資できるようになったのです。
これと、同じような仕組みを有するのが、「合同会社」です。
合同会社は、決まった額までしか責任を負わない人、つまり有限責任社員でのみ構成されている会社ですので、責任の取り方については、株式会社と同じです。
では、主に何が違うのかというと、実際の会社を執行する人が、株式会社は、取締役等ですが、合同会社は、出資者自らになります。
株式会社は、原則、出資と経営の分離というものがはかられており、お金を出す人と、実際に経営する人が制度の上では異なっています。つまり、お金は出すけど、実際の経営は、プロの経営者がやってねというものです。
しかし、合同会社は、お金も出すけど、経営も自分がやるというパターンです。
株式会社も、出資者が一人で、取締役も出資者が兼ねて経営を行うというパターンはあります。
しかし、株式会社は、仕組みとして大規模事業を行いやすい制度設計となっており、多くの出資者、多くの経営を執行する人が関与しやすくなっています。
これに対し、合同会社は、出資した者が、経営も行うので、制度としては、大規模事業になじみにくく、小規模な事業向きと言えます。
よって、株式会社と同じ、有限責任の制度をとっているにも関わらず、会社設立の簡便さや、会社のルールである定款の設計の自由度があります。
また、決算の報告義務もありません。
よって、会社を作りたいといわれるお客様が来られた時は、その方の会社へのかかわり方や、今後、会社を大きくしていきたいのか等を聞いて、どの会社の種類が適しているのかをアドバイスしています。
もっとも、最近は、会社の規模だけで、どの会社にしたらいいのかを考えるのではなく、総合的な判断になるパターンが多いように思います。
なぜなら、規模の大きな会社も、株式会社から合同会社に変更しているからです。
例えば、スーパーの会社の西友や(アメリカのスーパー、ウォルマートの子会社)、あのiPhoneのアップルジャパン、そして、通販のアマゾンジャパンまで合同会社になっているからです。
まあ、どれも外資系の子会社という事情がありますが、これからは、株式会社ではなく、『合同会社』の時代がやってくるんでしょうか。
最後に、アイドルグループの「乃木坂46」を運営している会社も、「乃木坂46合同会社」という合同会社です。
私は、特にこのグループのファンではありませんが、たまたま、このグループが主人公の番組の第1回をみてしまい、惰性で見続けたため、全員の名前を覚えてしまいました。今も惰性で見てますが、ファンではないです。
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