中長期在留者の在留管理制度等の施行状況に係る検証結果について ②
お疲れ様です。行政書士の亀井宏紀です。
さて、法務省入国管理局のプレスリリースである
「中長期在留者の在留管理制度等の施行状況に係る検証結果について」を
みてきました。
この検証結果を述べている、報告書の最後の「今後の在留管理の在り方」が
大事ですので、確認してみたいと思います。
まず、大きな課題としてあげているのが
「第1 在留管理制度の課題 」
「第2 在留外国人を取り巻く状況の変化への対応 」
の2つです。
第1 在留管理制度の課題として、あげられいる項目は
① 16歳の誕生日を迎える者の在留カード等の有効期間満了日の見直し
→見直しに向けた検討が必要
② 有効期間更新申請に係る個別通知の発送
→継続実施できるよう引き続き検討
③ 中長期在留者の届出制度
→中長期在留者と所属機関の双方からの正確 かつ確実な情報の取得に向けた検討が必要
第2 在留外国人を取り巻く状況の変化への対応として、あげられいる項目は
在留外国人の増加、活動内容や受入れ形態の変化
↓
これまで以上に在留外国人の在留状況を正確かつ確実に把握する仕組みを構築
○ 外国人の利便性の向上や必要としている行政サービスの提供等が行われる
○ 在留外国人が適法に在留していることを継続的に担保し,日本社会に安心・安全感が醸成される
↓
外国人とのよりよい共生社会の実現を推進
と、おおまかな概要の検証結果は、このようになっています。
この中でも、肝になっているのが、一番最後の「外国人とのよりよい共生社会の実現を推進 」
する必要があるという所です。
詳細は、報告書の中で述べられていますが、内容をわかりやすく確認してみますと
『平成21年改正法により導入された在留管理制度について、施行から約5年、その検討から約10年が経過したところ、この約10年の間の在留外国人数は約29パーセント増加している
このうち、在留資格「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」、「定住者」及び「永住者」で我が国に在留する外国人数は増加を続けてお り、平成18年末には約94万人であったのに対して、平成29年末には約110万 人と約16万人増加
その中でも「永住者」については,平成 18年末には約39万人と在留外国人全体の約20パーセントであったものが、平成29年末には約75万人と在留外国人全体の約29パーセントを占めるまで増加
また、我が国における外国人労働者の受入れの形態も多様化
国家戦略特区による外国人材の受入れや、建設及び造船分野における外国人材の受入れなどのように様々な特例措置により入国・在留する外国人も増加
所属機関等に関する就労状況の届出が必要とされていない在留資格 (例えば「特定活動」)を有する外国人が増加している
加えて、政府の「未来投資戦略2017」(平成29年6月9日閣議決定)では 「在留管理基盤の強化に向けて、行政手続簡素化の原則も踏まえ、各種識別 番号の活用の在り方など、外国人の就労状況を正確かつ迅速に把握するため の方策を検討する。」との提言がなされ
自由民主党の「一億総活躍社会の 構築に向けた提言」(平成29年5月10日一億総活躍推進本部決定)では、
外国人留学生の資格外活動の時間制限緩和とともにその「管理強化」もうたわれ、具体策として行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用 等に関する法律(平成25年法律第27号)等を改正し、外国人留学生の詳細な労働状況をマイナンバーとともに地方入国管理局等への報告を義務付けるこ とが提言
これらを踏まえて、これまで以上に在留外国人の在留状況を正確かつ確実 に把握する仕組みを構築することで、外国人の利便性の向上や必要としている行政サービスの提供等が行われるとともに、在留外国人が適法に在留して いることを継続的に担保し、日本社会に安心・安全感が醸成されることで、
外国人とのより良い共生社会の実現を推進していく必要がある。
このため、今後もこの検証結果を踏まえながら、在留管理の在り方について不断に検討を行っていく』
というものです。
つまり、在留外国人の在留状況を正確かつ確実に把握する仕組みを構築して、外国人の利便性を向上し、在留外国人が適法に在留していることを継続的に担保することで、日本社会に安心・安全感が醸成される。
これらをもって、外国人とのより良い共生社会の実現を推進していく必要があるということを述べています。
外国人が日本に多くくることによって、様々な問題が発生しているが、在留外国人の在留状況を正確かつ確実に把握する仕組みを構築して、在留外国人にとっては、適法に在留していることを担保し、日本の社会には安心をもたらし、ともに、共生していく社会を作っていかなくてはならないというのが、検証結果です。
外国人との共生社会の実現というのは、今の政府の方針でありますが、そのための施策の一つとして、今回は、プレスリリースされたんだなと、個人的には思っております。
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