【保存版】ベトナム人との国際結婚 完全版
お疲れ様です。
福岡の行政書士 亀井宏紀(かめいひろき)です。
外国の方と国際結婚をする場合の婚姻手続きについては、かなり複雑な場合があります。
日本のように婚姻届をだしてそれで終わり、というような国はあまりありません。どの国の方と国際結婚を行う場合もそうですが、まず、確認するのが、
「お相手様は、日本にいるのか、外国にいるのか」
です。
国際結婚は、二つの国で、婚姻手続きを行う必要がありますから、それでは、どっちから続きを始めるのがよいのかということが当然問題になります。
原則は、
・お相手様が日本にいる ⇒ 日本の婚姻手続きから始める
・お相手様は海外にいる ⇒ 外国から婚姻手続きから始める
のが、スムーズに手続きが進められる場合が多いです。
その理由ですが、婚姻手続きをするのに必要な書類を集めやすいからです。
国際結婚の婚姻手続きの際に必要な書類の一つとして、「婚姻要件具備証明書」というものがあります。
「この人は、婚姻をするにつき、その婚姻の要件をちゃんと具備していますよ」
ということを証明してくれる書類です。
この書類は、お相手様が日本にいる場合、つまり日本に在留しているような場合は、その外国人の国の在日本の大使館で、取得できる場合が多いです。
ですので、この書類が取得できるのであれば、先に日本の役所で婚姻手続きを行い、その後、日本にあるその外国人の国の大使館に婚姻の報告を行えば、手続きは完了するということになります。
もっとも、お相手様が、海外にいるような場合は、日本にあるその外国人の国の大使館では、「婚姻要件具備証明書」を取得できない場合が多いです。
あくまで大使館は、日本に在留する自国民については、証明書などの面倒はみるけど、本国にいるなら、本国で証明書をとってくれというスタンスです。まあ、あたりまえだなとは、思います。ですので、
・お相手様は海外にいる ⇒ 外国から婚姻手続きから始める
ということが、多くの場合、あてはまると言えます。
また、国際結婚は、自国と相手国の二か国で婚姻手続きを行います。
最初の婚姻手続きを、創設的婚姻手続き、後の方を、報告的婚姻手続きと言います。
国によっては、報告的婚姻手続きを認めていない場合がありますので、注意が必要です。
ここからは、ベトナム人の方との婚姻手続きについて、具体的に説明していきます。
ちなみにベトナムは、創設的婚姻手続きも、報告的婚姻手続きも可能です。
【ベトナムから先に、婚姻手続きを始める場合】
1 婚姻要件具備証明書の取得等
まずは、ベトナムから先に、婚姻手続きを始める場合です。
ベトナムでの、婚姻手続きの窓口は、
「婚姻相手のベトナム国籍者の本籍のある区・県人民委員会」になります。
ここに婚姻手続きに必要な書類を提出して、手続きを行います。
もっとも、ベトナムの場合、窓口に必要書類を提出して、結婚証明書がもらえるまでに、15日間の日数がかかります。そして、15日後の結婚証明書の受け取りの時には、必ず夫婦二人で出向く必要があります。
つまり、日本人の方がベトナムでの結婚手続きのために、ベトナムに出向いた場合に、婚姻手続きを行った後、そのまま15日間ベトナムに滞在するか、一度、日本に帰国し、再度ベトナムに行くかということになります。
このように、届出をして、結婚証明書が出るまでの待機期間を設けている国は、けっこう多いです。15日程度の待機期間がある国はざらで、30日とかの国もあります。
ベトナムでの婚姻手続きの際に必要な書類は、
・婚姻登録申請書
・婚姻要件具備証明書
・公立の総合病院が発行する健康診断書
・日本国籍者のパスポート
になります。順次みていきます。
まずは、婚姻要件具備証明書についてです。
これは、日本人本人がベトナムに出向くのであれば、在ベトナム日本国大使館で取得可能です。
婚姻要件具備証明書を日本国大使館で取得する際の必要書類は
・ 証明書発給申請書(大使館に備え付け)
・ 日本人のパスポート(提示が必要)
・ 戸籍謄本(発行日から3か月以内のもの)※離婚歴がある場合は、そのことがわかる分の戸籍謄本が必要、除籍、改製原戸籍なども
・ 婚姻相手(ベトナム人)の身分証明書(提示が必要)
・ 婚姻相手(ベトナム人の婚姻状況証明書(公安局が発行したもの)
となります。
なお、婚姻要件具備証明書には、
「独身であって、かつ婚姻能力を有し、相手方と婚姻することにつき何ら法律的障害がない」という文言が明記されている必要があるので、その旨を大使館の方に伝えてください。
次に、公立の総合病院が発行する健康診断書が必要です。健康診断書の提出が求められるのは、他の国と比べても珍しいです。
そして診断書にも、規定が設けられています。ベトナムにある病院で診断する場合は、
「公立の総合病院(診療科目として精神科を含む病院)が発行する健康診断書(自己の意思表示を行う能力を有し、結婚生活に支障がない旨の記載が必要。発行日から6か月以内のもの)」
という縛りがありますので、注意が必要です。ベトナムなら、どこの病院でもいいということではありません。あくまで公立の総合病院で、精神科のある病院です。
必要書類が揃えば、婚姻相手のベトナム国籍者の本籍のある区・県人民委員会の登録申請窓口に出向き、婚姻手続きを行います。
再度、必要書類をみると、
・ 婚姻登録申請書(登録申請窓口で、前もってもらっておくと手間がかかりません)
・ 日本国籍者の婚姻要件具備証明書(日本国大使館で発行してもらったもの)
- 公立の総合病院(診療科目として精神科を含む病院)が発行する健康診断書(自己の意思表示を行う能力を有し、結婚生活に支障がない旨の記載が必要。発行日から6か月以内のもの)
・ 日本国籍者のパスポート(原本提示・コピーを提出)
となります。
提出後は、婚姻登録証明書(結婚証明書のこと)の交付まで15日かかります。同証明書交付当日には、当事者二人とも出頭する必要があります。
2 日本の役所に婚姻の報告
この婚姻登録証明書(結婚証明書)を取得したら、3ヶ月以内に、日本の役所に、報告的婚姻手続きを行います。
その際に必要な書類は
・婚姻届
・日本人の戸籍謄本(本籍地のある市区町村に提出する場合は不要)
・ベトナムの婚姻登録証明書(結婚証明書)※和訳文をつける必要あり
・ベトナム人の出生証明書(パスポートの原本提示でも可能な場合あり) ※和訳文をつける必要あり
となります。
最後に、ベトナムの方の名前が入った、戸籍謄本を取得すれば、これが日本側の結婚証明
になりますので、今後の、日本人の配偶者等のビザ申請の時に、利用できます。
これで、国際結婚の婚姻手続きは完了となります。
【ベトナムで、先に一人で手続きを行ってもらう場合】
もっとも、ベトナムでは、さきほどもご案内したように、婚姻登録証明書(結婚証明書)の交付まで、15日かかります。
日本人がベトナムに出向く場合は、最初に届出をして、5日間現地で待つか、いったん帰国して、婚姻登録証明書が交付される時に、再度ベトナムに出向くかとなります。
しかし、仕事などが忙しく、15日もベトナムにおられない、又は、2回もベトナムに行けないという場合もあるかと思います。そのような場合は、最初の区・県人民委員会への提出に関しては、一人でも提出ができます。つまり、ベトナムの現地に相手様方がいる場合は、その方に書類の提出を頼めるということです。
だったら、最初から、それを紹介しろと、突っ込まれるかもしれませんが、この時の書類の準備が、直接日本人が、ベトナムに出向く場合よりも、複雑になります。直接、日本人がベトナムに行った方が、すごく楽です。
でも、時間的な制約がある場合などは、どうしようもないですから、ベトナムの彼氏、彼女P様に、一人で提出してもらうこちらの方法で準備をすすめます。
この場合の、必要書類について、まずは、婚姻要件具備証明書から確認します。
ベトナムの婚姻窓口に提出する婚姻要件具備証明書ですが、在ベトナム日本大使館でなく、
日本で取得する必要があります。日本人側が、ベトナムに出向かないので、あたりまえです。
日本人の婚姻要件具備証明書は、日本の法務局で、取得できます。
その際の必要書類は
・ご本人の戸籍謄本
・ご本人の運転免許証
・パスポートと、印鑑
になります。
それと、発行の際に、婚姻の相手方を特定する必要があるので、相手方の国籍、生年月日、氏名、性別を確認されます。
婚姻の相手方のパスポートの顔写真のあるページなど、彼女様の情報がわかるものを持参しておいてください。婚姻要件具備証明書は、即日発行されます。
次に、健康診断書です。
この健康診断書は、
「公立の総合病院(診療科目として精神科を含む病院)が発行する健康診断書」となり、
その健康診断書には、
「自己の意思表示を行う能力を有し、結婚生活に支障がない旨の記載が必要」となっています。公立病院ですので、赤十字病院などは、公立ではないので、ダメとなります。
各県には「国立病院機構」の病院がありますので、このような国立の病院などで、受診してくださ。なおその場合も、精神科がある病院にしてください。
そして、健康診断書には、必ず、
「「自己の意思表示を行う能力を有し、結婚生活に支障がない」旨の記載をしてもらってください。
次に、この取得した健康診断書を、公証人役場に持参し、「公証」をしてもらいます。
公証人から、ハンコをもらうということです。
この公証自体は、事前に、お近くの公証役場に連絡し、予約をします。そしてその日に行けば認証してくれます。
次に、この公証人役場で認証してもらった、健康診断書を、認証してもらった公証人役場が所属する地方法務局(公証役場にいった時に、所属する法務局はどこですかと聞いておいてください)に出向き、証明書(公証が有効なものであることの証明書)の発給を受けます。
これは、特に事前の連絡なく、法務局に出向けば、やってくれます。
ここで、法務局に出向きますので、先ほどの、婚姻要件具備証明書については、この時に、
一緒に取得すれば、よいかと思います。
日本で行うことは、以上となります。
次は、必要書類を、相手方のいるベトナムに送ります。
ベトナムに送る書類は
・婚姻要件具備証明書
・健康診断書
・パスポートをカラーコピーしたもの
・日本人の戸籍謄本
・在ベトナム日本大使館への証明書発給申請書
・委任状
となります。
なお、婚姻要件具備証明書、健康診断書も、カラーコピーしたものを、ベトナムに送る際に同封しておいてください。何らかの時に、必要になる可能性があります。
ベトナムで、書類を受け取った相手方が、在ベトナム日本大使館に出向き、
・婚姻要件具備証明書
・健康診断書
について、「公文書上の印章証明書」(地方法務局発給の証明書に押印されている公印が真正なものであることを証明するもの)の発給を受けます。
この発給を受けるために、
・在ベトナム日本大使館への証明書発給申請書
・委任状
が必要になります。
証明書発給申請書と委任状については、在ベトナム日本大使館のホームページからダウンロードできますので、あらかじめ、日本で用意して送るようにします。
日本大使館は、原則、日本人本人が出向きますので、委任状がないと、対応してくれません。
次に、日本大使館で、公文書上の印章証明書の発給を受けた、婚姻要件具備証明書、健康診断書について、ベトナムの外務省領事局に出向き、ここで認証を受けます。
次に、ベトナムの外務省領事局で認証を受けた書類について、
地方人民委員会各区事務所に出向き、ベトナム語への翻訳を依頼します。
翻訳文書を取得できたら、婚姻要件具備証明書、健康診断書については、完了となります。
次に、日本人のパスポートのコピーに、ベトナムの公証役場で公証を受ける必要があります。
相手方に、ベトナムの公証役場に出向いてもらって、公証をしてもらってください。
以上で、日本人側の必要書類の準備が完了したことになります。
後は、ベトナム人側にて、必要な書類を揃えてもらい、彼女様の本籍のある区・県人民委員会にて、婚姻手続きを行ってもらうことになります。
これで、提出後、15日が経過すれば、あとは、日本人側もベトナムに出向き、ベトナムの婚姻登録証明書(結婚証明書)を受け取ります。
【日本から先に、婚姻手続きを始める】
1 婚姻要件具備証明書の取得
次に、日本から婚姻手続きを始める場合についてです。
考えられるケースは、
・お相手様が日本にいる
ような場合です。ベトナム人の方が、日本に中長期間滞在しているような場合、つまり在留カードをお相手様が持っているような場合です。
ベトナムの場合、在留カードをもっている自国民であれば、在日本のベトナム大使館で、
婚姻要件具備証明書の発行をしてくれます。
もっとも、在留カードをもっていないベトナム人、つまり、短期滞在などで日本に一時的に
滞在しているような人については、在日本のベトナム大使館では、婚姻要件具備証明書の発行をしてくれません。国によっては、婚姻要件具備証明書を発行してくれる場合もあるのですが(マレーシアは、短期滞在でも発行してくれます)、ベトナムの場合は、発行不可なので、
短期滞在では、日本で婚姻手続きができないということになります。
在日ベトナム大使館で婚姻要件具備証明書の発行に必要な書類は
・婚姻要件具備証明書の申請書(在日ベトナム大使館のHPでダウンロードできます)
・ベトナム人のパスポート(2ページ目、3ページ目の写しと、原本の提示)
・出生証明書(ベトナム本国で取得)
・婚姻状況証明書の原本(独身証明書のこと、ベトナム本国で取得)
⇒この証明書には、結婚のための目的、結婚相手の氏名、旅券番号、国籍、婚姻届予定場所の名前等を明白に記入してもらうことが必要、また発行から6か月以内のもの、ベトナム本国の本籍地の役所で取得できます。
・日本の法務局から発行してもらう相手方日本人の婚姻要件具備証明書(自分の名前が記載されていない証明書)
・在留カード
となっています。申請後、5営業日で、婚姻要件具備証明書を発行してくれます
2 日本の役所に、婚姻届を提出
在日本のベトナム大使館で、婚姻要件具備証明書を取得できれば、次は、日本の役所(市役所・役場)にて、婚姻手続きを行います。
日本人側の必要な書類は、
・婚姻届
・戸籍謄本(本籍地にある役所に届け出る場合は不要)
ベトナム人側の必要書類は
・婚姻要件具備証明書(日本語訳のあるもの)
・出生証明書(日本語訳のあるもの)
・パスポート(原本提示)
となっています。
婚姻届を提出したあとは、ベトナム人の方の名前が入った、新しい戸籍謄本を申請しておきます。この新しい戸籍謄本は、在日ベトナム大使館に提出する必要があります。
3 在日ベトナム大使館(領事館)に、日本で婚姻手続きを行ったことの報告
日本での婚姻手続きが完了したあとは、在日ベトナム大使館に、日本で婚姻手続きをしたことの報告を行います。
必要書類は
・婚姻等記入申請書(在日ベトナム大使館のHPでダウンロードできます)
・ベトナム人のパスポート(2ページ目、3ページ目の写しと、原本の提示)
・日本人の戸籍謄本(ベトナム人の名前が入っているもの)
・住民票
・在留カード
となっています。
申請後、5営業日で、本籍帳記載抄録証明書(ベトナムの結婚証明書に代わるもの)を発行してくれます。
以上が、ベトナム人の方と、結婚する場合の手続きになります。
もっとも、状況によっては、これらと異なる手続きが必要になる場合もあるかと思いますので、手続きを行う前に、大使館などに確認することを、おすすめします。
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